平成23年9月7日
奥州市長殿
子ども達を放射能から守り隊
放射線被曝から子どもを守る会
放射線被曝から子供を守る会・いわて
請 願 書
先日は先に提出しました3通の請願書に対してご回答をいただき、ありがとうございました。子ども達を放射能から守るべく、担当各所にて検討され対策を立てられていることに感謝いたします。しかし、ご回答には検討や努力はするものの具体的な施策が見えてこないものが多く、それらを踏まえて改めて提言させていただきます。
@ 広報おうしゅう8月号記事について訂正を求めます
A 放射性物質拡散防止のため焼却炉の放射能除去フィルターの設置と野焼きの禁止を求めます
B 食品の放射能検出器ガンマスペクトロメーターの設置を求めます
C 地産地消の見直しや牛乳の安全性を考え、学校給食のさらなる安全確保を求めます
D 子ども達の健康調査を求めます
E 全市を挙げて除染の取り組みが出来るよう指導を求めます
F 子どもの安全な遊び場を確保を求めます
G 農地の土壌汚染を調査し、生産される農作物の放射能検査を徹底を求めます
H 放射能から自分たちの身を守るための情報を市民に広め、勉強会等の開催を求めます
@
広報おうしゅう8月号記事について
放射線の測定に関しては、奥州市は当初定めていた10箇所だけでなく、子ども達の安全を確保する見地からすべての小中学校、幼稚園、保育園において校庭や園庭、砂場や軒下、排水溝などについて地上5cm、50cm、1mと高さを変えて測定するという、全国に先駆けた素晴らしい取り組みをされているということは記事の通りです。
ただし、水沢病院の小島氏の発言に関しては、各方面で非難の声が上がっています。次に間違っていると思われる箇所を指摘します。
(1)「県内では年間平均1.2mSvの自然放射線量を被ばくしています」
日本全国の自然放射線量(東北電力)によると岩手県は0.91mSvとなっています。
http://www.tohoku-epco.co.jp/electr/genshi/shiryo/wastes/11.html
また、日本地質学会の日本の自然放射線量で見るとより低い値で、日本で一番高いところが1.2mSv というレベルであることが分かります。
http://www.geosociety.jp/hazard/content0058.html
(2)
「国は法律で定める自然放射線の被ばく量を年間1mSvから、緊急時の 20mSv(自然放射線や医療被ばくは含まない)に暫定的に引き上げました。1時間に換算すると3.8μSvになります」
自然放射線といっているのは恐らく単なる放射線または事故由来による放射線というところの間違いだと思われますが、緊急時の20mSvについては事故後の4月19日に文部科学省が福島県内の学校等についての暫定的な考え方として提示したもので、これは事故を受けて夏季休業終了までの期間を対象とした暫定的なものです。その後5月27日に現在年間1mSv以下を目指すとした通達が出され、8月26日には毎時3.8μSvを撤廃し1μSvとすることと改められました。よって今時期、3.8μSvの値を引き合いに出すことは無用な安心感を与える恐れがあります。
(3)「外部被ばくを避けるのに最も有効な方法は、公共機関が測定し、高い測定値が出た場所に近づかないことです」
どの程度を「高い」とするか明確にはされていないので、個人の判断にゆだねられるのでしょうが、1μSv/hはもとより本来であれば0.6μSv/h以上は放射線管理区域になるので、マークをつけて立ち入り禁止にする必要が出てきます。まだ、されていない箇所がたくさんありますので急務です。
(4)「通常の食品にも放射線は含まれていますが、流通している食品は、食品衛生法の基準値を下回っているので安全です」
食品安全法の第六条の二には「有害な、若しくは有害な物質が含まれ、若しくは付着し、又はこれらの疑いがあるもの」とありますが、放射性物質の値についての記述は一切ありません。恐らくは「当分の間、別添の原子力安全委員会により示された指標値を暫定基準とし」とある、暫定指標値のことを言いたかったのではないかと思われますが、その暫定値というのは日本の飲料水の暫定基準値はヨウ素131が300bq/L、セシウム137が200bq/L、原発の排水の基準値はヨウ素131が40bq/L、セシウム137が90bq/Lですから、原発からの排水よりも汚染された水を飲んでも安全だと国は言っているわけです。野菜などについても同様です。
世界も驚く日本の基準値2000ベクレル
http://kingo999.web.fc2.com/kizyun.html
事故直後の混乱期に短期間で何故このような基準値が決定されたか、民主党政権の大きな謎ですが、恐らくは汚染食物を出荷できるようにするためではないでしょうか。もし仮にそうだとすれば、この基準値を下回っていれば安全だと言えるでしょうか。
原子力安全委員会の「食品流の放射性物質に関する当面の所見(H23.4.4)」によると「発がん性のリスクについての詳細な検討は行えていない等、様々な検討課題が残っている」と健康影響評価が行われておらず、安全と言い切れる数値ではないと露呈しています。よって、基準値を下回っていれば安全だと言い切るのは間違っています。
さらに、流通している食品が安全かどうかですが、県の調査結果によるとこれまで検査を行ったのは奥州市については5品目のみで、検出限界値は品目によって違い、8ベクレル〜15ベクレルとのことですが不検出とはあくまで検出できなかったということでありゼロではありません。奥州市にどれだけのトマトがあるのか分かりませんが、その中の70〜80gくらいを抽出しサンプリング調査しただけで、果たして流通しているものがすべて安全だと言えるのでしょうか。
流通前に測定したものでは奥州市の六条大麦が76ベクレル、小麦が59bqなど、すでに流通してしまい生産された市町村が不明なものについて検出されたものは牛肉1210ベクレルなどとなっています。目の大きなざるの様な検査体制で、流通している食品は、安全ですと言い切るのは間違っています。
環境放射能に関する情報(福島第一・第二原子力発電所事故関係)
http://www.pref.iwate.jp/view.rbz?cd=32066
食品の放射能検査データ(地域別)
http://yasaikensa.cloudapp.net/Browse.aspx
(5)「自家製野菜は水で洗い流すことにより、外側に付着した放射性物質の約8割を洗い流すことが出来ます。また体内に入ったとしても免疫機能や代謝により大半は体外へ排出されます」
半年がたとうとしている現在、大気汚染よりも深刻なのは土壌汚染であり、根から吸収される放射性物質に対しての啓発が必要です。この書き方では、放射性物質は洗えば落ちると思い込ませてしまう危険性があります。放射性物質は核種によって体内の蓄積されやすい場所が決まっており(ヨウ素は甲状腺、プルトニウムは肺、セシウムは筋肉、ストロンチウムは骨など)、何割かは排出され何割かは蓄積されるということです。一般に排出と言うのは胃に取り込んだものでしょうが、肺に取り込まれたものは排出されず、ずっと体内で放射線を出し続けます。にもかかわらず、風の強い日のマスクの着用などの自己防衛啓発には一切触れていません。
以上5点について、詳細に調査し、間違いであれば次号か臨時号等で訂正をするよう求めるとともに、「何もしなくてもほぼ大丈夫」なのではなく「迫っている危険性を正しく理解し、自分達の身を守るすべが分かる」というような啓蒙記事を望みます。
A
放射能除去フィルターの設置と野焼きの禁止
胆江地区衛生センターでは7月13日、主灰1,250ベクレルに対して飛灰に10,500ベクレルという高濃度の放射性セシウムを検出しています。
一般廃棄物焼却施設における焼却灰の放射性物質濃度の測定結果について
http://www.pref.iwate.jp/view.rbz?nd=4406&of=1&ik=1&pnp=50&pnp=2648&pnp=4406&cd=33799
ご回答によりバグフィルターにより99%の飛灰を集塵しているということで一応の安堵を致しましたが、それでも衛生センター付近の線量が高いのは、何故でしょうか。手持ちの線量計では四丑橋西付近で高い値を示し、橋の上に来ると下がり江刺側は下がったままとなります。衛生センター付近の放射線量を計測してください。その上で、大気中への放射性物質の放出が本当にないかどうか、排出される煙を調べる必要があります。放射性セシウムは671度で気化するというデータがあり、ダイオキシン対策の高温炉であればセシウムが気化している可能性が高く、やはり放射能を除去するためのフィルターの設置が必要となりますのでご確認ください。
また、主灰より飛灰に多く放射性セシウムが含まれることから、野焼きの煙によって内部被ばくが助長され続けている危険性が非常に高く、絶対に止めなければなりません。法律及び岩手県条例により農作業における草焼きは例外として認められているということで、上位法に規定されている範囲内でしか市の条例は規定できないということでしたが、「県民の健康で快適な生活を確保するための環境の保全に関する条例」ですから通常とは違う放射の汚染地域において県民の健康が害される恐れのある野焼きはやはり禁止されるべきです。法律の専門家ではないので詳しくは分かりかねますが、健康で快適な生活を確保するために野焼きを禁止する方法を探ってください。
B
ガンマスペクトロメーターの設置
農畜産物の品質管理のために食品における放射性物質の簡易測定器の導入を進めていると言うことですが、検出限界値が高いものであることから子どもを内部被ばくから守るためには不十分なものです。市民の安全を守るためには1ベクレルから検出できるガンマスペクトロメーターLB2045が必要であると以前にお勧めしました。スーパーで買ってきたものや家庭菜園で作ったものが安全かどうか確かめるために、市民が使用できるものです。先に導入予定のものに加えて、設置をお願いします。
C
学校給食の安全性確保
ご回答いただいたのは今回新たに立て直した体勢や調理法ではなく、これまでに行ってきたものであると認識しています。学校給食法に基づき「有害なもの又はその疑いがあるものはさけること」とあることから、@の(4)で指摘したとおり流通している食品が安全だとは言えない中、子ども達に安全な給食を提供するために、まずは汚染されている確率の高い地場産品は検査体制が整うまで扱わないのが懸命です。放射能汚染問題下においては、繰り返し訴えますが今、地産地消は止めるべきです。そして、出来るだけ安全だと思われる地域の食材を使い、出来るだけ放射性物質を低減させられる調理法を工夫し、放射性物質を体外に排出する食物などを取り入れて献立を立てる必要があります。
牛乳については検査体制にずさんなところがあり、各酪農家毎に検査をせず、地域で一括して集められたコールドセンター毎に検査をしているため、汚染牛乳が汚染されていない牛乳とブレンドされ、検出以下になっている可能性が大いにあります。流通させるために意図的にブレンド牛乳を作る悪質な業者も出てきており、これは他の食品にもいえることですが、産地偽装などを見抜くためには私達は日々細心の注意していないと汚染されたものを安全だと勘違いして摂取してしまう現状にさらされています。検査体制が整うまでは、牛乳の供給はストップするよう強く求めます。
モーちゃん牛乳のダニの付着事件につきましては三度の事故となり信用を失いかけているところですが、生産者が限定され飼育環境や飼料などを明らかにできる地域限定のブランドですから、これを守るためには先に述べたガンマスペクトロメーターにより独自に汚染されていないことを明らかにすることが必要不可欠です。そうすれば、再び安心して牛乳を飲むことが出来、学校給食のみならず広く市民に利用を呼びかけていくことが出来ます。放射能問題から牛乳を控えざるを得なかった市民が多い中、購入者が増えることは間違いありません。学校給食の安全とモーちゃん牛乳の信用回復のためにもやはりガンマスペクトロメーターの導入を求めます。
D
子ども達の健康調査
放射線の汚染濃度が福島県いわき市と同程度のレベルであるにもかかわらず、国から何の調査もなく、補償もないのはおかしな話です。岩手県南地域の子ども達の健康調査は急務です。甲状腺の検査、尿検査などに加えて、ホールボディーカウンターの県南への導入を国に訴えてください。検査機関や危機の台数が限られているから福島県や近隣県での調査の進め方等を眺めているだけでは、子ども達を守ることは出来ません。訴えなければ何も施策を出してこない国です。検討であれば私達もしています。検討するだけはなく、実際に国に訴えてください。
E
全市挙げての除染取り組み
市内各所の公共機関で除染作業が行われ、放射線量の低減が確認されているところは行政の取り組みに対して市民も評価をするところです。さらに詳細に放射線量を測定し、各教育機関、公園や公民館等の子どもが過ごす場所を徹底的に除染していく動きを期待しています。また、1μSv/hは今回も福島県下に出されたものであり、奥州市はこれまでの取り組みですでに1μSv/hの地点については除染を進めていることから、これからは放射線管理区域となる0.6μSv/h以下を指標として今後の除染作業を行ってください。
県では国に対し放射性物質による被害拡大防止対策の徹底と、損害賠償の早期完全実施を図る意見書を議決しました。これについては行政が関わった除染作業について過去にさかのぼって補助対象とするということです。市職員、教職員、PTAのみならず、多くの市民ボランティアを募り、また未来ある子ども達を守るためにシルバー人材も活用するなどして、官民一体となり除染作業をしていく体勢を作ってください。
市で入手する線量計はいつ納期される予定なのでしょうか。たとえ入手できても森林地は除外しても広大な奥州市の面積を測定するには膨大な時間がかかります。個人で線量計を所有する者に協力を呼びかけ、出来るだけ細かく地点を計測しミニホットスポットを探し出してもらうことです。個人の線量計の精度については議論の余地がありますが、少なくとも線量が高いか低いかは判断が付きますので、高いところについて市で精度の良い機材によって確実に測定するというシステムを構築してください。市民の協力なしには、安心して産み育てられる街奥州は取り戻せません。
F
子どもの遊び場の確保
子ども達を安心して遊ばせてやれる場所として、短期的にはメイプル地下のエンゼルプラザを土日も開放し、子育て広場のように公民館の部屋や体育館を開放し、学齢期前というような年齢の制限をせずに遊べる場所を確保してください。メイプル地下ホールや2階を含め、街中には空き店舗も多く、活用できる場所はあるはずです。子どもとともに親が集まれば、市街地の活性化にもつながります。
長期的には、県立いわて子どもの森のミニバージョンのような施設を県南に設置することを県に求めたり、釧路市子ども遊学館のような室内で思いっきり体を動かせる施設の設置が必要です。
これは夏季休業中に放射能からの疎開として、代表が北海道釧路市に行ったときに見つけた施設ですが、屋内に無料で遊べる砂場があり、小中学生100円の入館料でネットジャングルやロッククライミング、ボールプールなどの体を使う遊具や、おはなしハウスやキッズテントなど本を読んだり昔遊びをしたりして静かに過ごせるところなど、子ども達が雨の日や冬の寒い日に自由に遊べる場所が確保されています。上階には盛岡の子ども科学館的な展示もあり、プラネタリウムもありました。このように立派な箱物でなくてもいいですから、今後放射能対策で外で自由に遊ぶ時間が制限されることから、子どもの体力増強が出来るような施設設置の検討を願います。
http://www.kodomoyugakukan.jp/index.html
G
農地と農作物の放射能管理
すでに牛肉問題で明らかになっているとおり、奥州市のブランド品を守り、農産物を風評被害から守っていくためには、国や県による詳細なサンプリング調査が必要ですが、それを求めていくのは相当に長い道のりになりそうで、その前に奥州市の産品はすっかり信用を失い、誰からも目を向けられなくなってしまうかもしれません。そうなる前に、独自に調査をし厳しい基準を潜り抜けた安全なものだけを、胸を張って安全だといって出荷できる体勢を整えてください。簡易測定器の導入は第一歩として、さらに高度に検査できるよう求めます。
農地についても作付け前に土壌の調査をし、除染が必要なところは除染をし、より安全な作物を作っていけるようにする体制が必要です。今年の新米については、細かくサンプリング調査することによって農家単位での汚染状況がかなり明らかになってくると思われます。この期を逃さずに、しっかりと除染作業を進めていくよう要求します。
H
放射線から身を守るための啓蒙活動、勉強会
これまで放射能汚染についてあまり知らなかった市民も、広報おうしゅう8月号を見て大半が知ることになったとは思いますが、その記事によって根拠のない楽観的な考えを持ってしまったことは、奥州市の未来にとって大変な損益です。このままでは汚染された土壌で汚染された食物を作り出しては消化し、焼却炉や野焼きによって汚染された空気を呼吸し、市民が被ばくを続けていつか健康にツケが来るという最悪のシナリオになりかねません。
そうならないためにも、8月号の記事の間違いを正し、正確な知識を与え、放射線から正しく身を守るための情報を与えなくてはなりません。放射能対策の手引きなどの小冊子のようなものも考えられます。また、各専門家を呼んで講演会を行ったり、市民間での勉強会や意見交換会などを活発に行うことにより、市全体で放射能汚染に立ち向かう体勢を整えてください。
※
本日、市のHPで「公共下水道施設で発生する汚泥等の放射性物質濃度測定結果について」ということで前沢下水浄化センターで8月25日以降ヨウ素131が検出されていることを知りました。下水道課に問い合わせたところ、福島原発由来のものなのか他の原発からのものなのか、または病院の放射性ヨウ素が漏洩したものなのか調査中とのことでした。また盛岡でも8月下旬に微量にヨウ素を検出しておるとのことでしたので、もはや素人に理解できる範囲ではありませんが、未だに事故が収束していない中、そして政府が情報を公開しない中、不安を覚えないわけには行きません。最近、福島原発のニュースが減りましたが、状況が良くなっている時はニュースにしますが、あまり良くない時には決してマスコミに話題が出てきません。
奥州市内の幼稚園、保育園では体育館などの屋内で運動会を実施する動きが盛んですが、未だに屋外での開催をするところも多くあります。特に放射線量の高い前沢区、衣川区での屋外開催については大変心配されるところです。一部の保護者が声を上げても、園長の方針で「子ども達が楽しみにしているので、外でのびのびと運動会をさせたい」と言えば、心配な保護者は泣き寝入りです。ヨウ素が検出されると言う非常事態の中、埃まみれで擦り傷を作りながら外で運動会をさせるのは非常識です。同じく子どもを守りたいと願っているのに、園長の方針によって子ども達が被ばくするかしないか決められてしまうのは不平等です。
園長たちは今回のヨウ素についてほとんど知らないことと思われます。この実態を知っている市が主体となって、市内の幼稚園、保育園に屋内での開催に変更するよう通達を出してください。緊急に、お願いします!