平成24年4月16日 

岩手県知事 達増 拓也 様 

 

岩手県産婦人科医会会長 

                 小林産婦人科医院長 小林 高                 

岩手県「放射線健康影響調査(尿中放射性物質サンプリング調査)」に係る要望並びに公開質問について 

 日頃より、県民福祉の向上にご尽力頂いておりますことに感謝申し上げます。 

さて、先月2日に公表された岩手県「放射線健康影響調査(尿中放射性物質サンプリング調査) 」において、被験者132名の内119名の尿中から放射性セシウムが検出され、数値の高い子どもでは、尿1リットルあたり6ベクレルを超える値が検出されました。 

同日、県が公表した「放射線健康影響(内部被ばく線量)調査の結果について」によれば、放医研、UNSCEAR、ICRPの評価及びそれに倣った福島県、宮城県の評価を参考資料として、岩手県もまた、その評価に従う姿勢を表明していましたが、低線量内部被ばくに関しては、専門家の評価も大きく分かれており、預託実効線量を表すシーベルトという単位自体が、内部被ばく評価に適しているか否かの議論もあります。県内の子どもたちの将来の健康にかかわることを考えれば、慎重な評価と対応が求められます。今後、専門家の議論も継続されるであろうし、福島原発事故による被曝者の症状観察結果によっては、評価自体の見直し変動も十分に考えられます。 

このような現状の中で、安易に安全性を公表した今回の県の対応は、今後の除染対策や食品摂取に誤った安心感を与える危険性が高く、非常に残念です。むしろ、今 回の被験者の定期的な継続検査は非常に重要だと考えます。少なくとも、対策の成果やセシウムの移動や減衰効果によって体内被曝数値の低下が確認されるまで は、継続検査は不可欠ではないかと考えます。1回のみの検査では、その数値が平衡状態なのか、上昇途中なのか、下降途中なのかさえ分かりません。 

また、被験者で数値が高かった子どもの聞き取り調査(健康状態、食生活、学校給食、居住地域等)も早急に実施して、原因究明に努めて、給食の食材選択・検査率の向上(毎日全品検査が理想)など対策を講じるべきだと思います。 

 私たちは、以上の観点から以下の項目において、公開質問させていただくとともに、継続検査及び聞き取り調査の実施を強く要望いたします。

 

1. 尿検査結果の評価について

1.               評価した委員会の会議録は公開されているのか伺います。また、公開していないとすればその理由を伺います。 

2.               評価した委員は、放射性物質の部被ばくに関する専門家なのか、どこでどのようにして選ばれたのか、また、市民の代表を加えることはできなかったのか伺います。 

2.尿検査結果を受けての今後の取り組みについて 

1.               放射性セシウムが検出された子どもたち個々の食生活など原因を調べる、また症状などの聞き取り調査が必要と思われますが、その予定はないか伺います。また、予定がない場合はその理由もお示し下さい。 

2.               子どもたちの健康を守るため、今後も継続して尿検査と健康検査を行なっていくべきだと思いますが、ご見解を伺います。 

3.                本県においても甲状腺に放射性ヨウ素を取り込んだ可能性がある子どもたちがいるはずです。このことについて測定と評価を行い、対策を講じて不安を解消させるべきではないかと思いますが見解をお示しください。 

3.今回の尿検査に関する専門的な質問 

1.       今回の尿サンプリング調査の評価過程において、セシウムの体内半減期をどのように試算していますか。年齢によって半減期が異なる場合は、例を挙げてお示しください。 

2.       今回の尿サンプリング調査の評価過程において、体内のセシウム総量(単位ベクレル)を試算・算出していますか。算出しているなら、なぜ公表しないのか伺います。 

3.       「体重40キロの子ども・慢性摂取・事故から365日後の検査・日尿量1リットル」という仮定で、尿1リットルから何ベクレル検出されるとこの子どもが、「年間1ミリシーベルト」または「生涯100ミリシーベルト」に相当する被ばくを受けたことになるのかお示しください。 

4.       同じく、上記の仮定の子ども1リットル当たり6ベクレル検出された場合(365日後)の預託実効線量と、この子どもが事故から730日後の検査で6ベクレル検出された場合の預託実効線量をそれぞれ算出するとどのような数値となるか伺います。 

以上の点について5月16日までに、文書で回答していただくようお願いします。なお、回答いただいた内容はマスコミに提供いたしますのでご承知おきください。 

 

 

【賛 同 団 体】 

放射能から子どもを守るプロジェクト・チーム奥州(放射線被曝から子どもを守る会・いわて奥州支部 子ども達を放射能から守り隊 放射能から子供の健康を守る会 前沢)

【賛 同 人】

奥州市議会議員 三ノ宮治 / 奥州市議会議員 関笙子 / 奥州市議会議員 菅原明 / 奥州市議会議員 今野裕文 / 奥州市議会議員 千田美津子 / 奥州市議会議員 及川善男 / 雫石町会議員・クランボンの会 山崎留美子

岩手県産婦人科医会会長 小林高 / 岩手県立遠野病院医師 菅原卓 / 奥州市・獣医師 三浦 / 北上市・医師 岩見千丈 / 小林産婦人科医院院長 小林高 / 下河辺胃腸科クリニック院長 小野寺剛士 看護師 小野寺愛子 /

べ歯科クリニック院長 阿部修作 / いとう矯正歯科クリニック院長 伊東利晃 / 医療法人ちだ歯科院長 千田太山 副院長 千田まどか / 医療法人百成会 ちば歯科医院院長 千葉雅之 / 大手町歯科医院院長 高橋元 / 北大通歯科医院院長 佐々木武治 / くぼた矯正歯科クリニック院長 久保田宗次 / コバヤシデンタルクリニック院長 小林太郎 副院長 小林恭子 / すずき歯科クリニック院長 鈴木和彦 / なかの矯正歯科院長 中野廣一

子どもを放射能から守る岩手県南・宮城県北の会 千厩「おもちゃの病院」 六ヶ所村ラプソディー岩手県南・宮城県北上映者の会 菅原佐喜雄 / 子どもたちの未来を考えよう平泉の会 遠藤セツ子 / 市民放射能測定所 SAVE CHILD iwate 代表 放射線被曝から子どもを守る会・いわて会長 小野寺拓 / 放射線被曝から子どもを守る会・いわて一関支部代表 金野大介 / 子どもたちのいのちとみらいを守る会代表 佐藤良規 / 放射能から気仙の海辺を守る鱈の会 反核気仙人 河野正義(大船渡市)

スポート分析センター 北上放射能測定所 東北EM普及協会 川辺公雄 / モーとんふぁみりー 穴田光宏 / 金ヶ崎町・やさいっこ村 村井幹啓 / ちいさな野菜畑 小島進 / 北上市・自然食品店経営 菊池治彦 / クランボンの会 島津勢津子 / たんぽぽ会 沼崎優子 / 里山生活学校 河内山耕 / 花巻市・映画監督 澄川義彦 / 一関環境カウンセラー 薄井信次

青木啓(奥州市)/ 青澤弘明(奥州市)/ 池野圭子(盛岡市)/ 板屋真菜子(奥州市)/ 井上尚子(宮古市)/ 入江敦(花巻市)/ 及川弘子(奥州市)/ 大山美早子(奥州市)/ 小原玉義(一関市)/ 笠原悠貴(北上市)/ 河内山可奈(奥州市)/ 菊地栄美子(奥州市)

/ 小林千恵子(盛岡市)/ 小林美海(一関市)/ 小波津敬 小波津由美子(大東町)/ 齋藤由紀子(奥州市)/ 酒匂徹(花巻市)/ 櫻井聡美(北上市)/ 佐々木千佳(平泉町)/ 佐藤真智香(金ヶ崎町)/ 佐藤幸江(一関市)/ 佐藤友季子(一関市)/ 高橋裕見子(奥州市)/ 高橋由弓(奥州市)/ 立花公樹(奥州市)/ 舘澤みゆき 舘澤葉子 舘澤奈緒 舘澤興 舘澤松太郎 舘澤マサ(盛岡市)/ 千田可也(奥州市)/ 千田新菜(奥州市)/ 千田和香(奥州市)/ 戸田仕(東山町)/ 中澤元(奥州市)/ 永田文夫(盛岡市)/ 根元奈緒(奥州市)/ 服部美香(奥州市)/ 三好浩史(奥州市)/ 宮崎珠子(盛岡市)/ 村山英詩(一関市) 柳谷励子(花巻市)/ 山下祐一(大船渡市)/ 若生和江(奥州市)